「そろそろマイホームを考えているけど、公務員って持ち家と賃貸どっちが得なの?」
公務員家庭ならではの悩みですよね。住宅手当・住宅ローン控除・購入コスト…考えれば考えるほどわからなくなる。
わたし自身、夫が公務員でFP資格を持つ主婦として、この問題をずっと考えてきました。この記事では、数字を使って賃貸と持ち家を比較し、最後にわたしなりの結論をお伝えします。
「素人が考えてみた話なので、間違っていたらぜひコメントで教えてください」というスタンスでお届けします。
※この記事は「まず資産形成ありき」という立場を前提にしています。持ち家より先にNISA・iDeCoで資産形成を進め、ある程度の基盤ができてから住宅を検討するという考え方です。また、地方在住の公務員家庭を想定しています。都市部の資産価値が高い物件については後半で触れています。
公務員は賃貸に住宅手当が出る(持ち家には出ない)
まず大前提として、国家公務員の住宅手当は賃貸住宅にしか出ません。
持ち家への住宅手当は2009年に廃止されており、2026年現在は支給ゼロです。
- 家賃が16,000円超から支給対象
- 上限額:月28,000円(国家公務員)
- 年間最大336,000円(約34万円)
この年34万円の差が、公務員家庭の賃貸vs持ち家問題の核心です。持ち家を買った瞬間に、毎年34万円の収入が消えます。地方公務員は自治体によって異なるため、職場に確認してください。
持ち家を買うときの本当のコスト
「4,500万円の家を買う=4,500万円払う」ではありません。
購入時の諸費用(物件価格の6〜9%)
4,500万円の物件なら、諸費用だけで270〜405万円が別途かかります。
- 印紙税
- 不動産取得税(固定資産税評価額×4%、宅地は2分の1、新築は最大1,200万円控除)
- 登録免許税・登記費用
- 融資事務手数料・ローン保証料
- 生命保険料・火災保険料・地震保険
- 不動産会社への手数料・地盤調査費用
なお、土地には消費税がかかりません。建物部分は業者売却なら消費税10%、個人間売買なら非課税です。
買ってからもかかる費用
- 固定資産税:毎年1.4%(200㎡以下の小規模住宅用地は課税標準が6分の1になる特例あり。新築3〜5年間は120㎡まで税額2分の1)
- 都市計画税:市街化区域内の土地・家屋に課税
- 修繕積立:一生涯の平均は約615万円
- シロアリ消毒:5年に1回・約15万円
- 解体費用:将来200万円以上
これらを合計すると、4,500万円の物件でも生涯コストは6,000〜7,000万円規模になることも珍しくありません。
住宅ローン控除2026年最新情報
2026年の住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の概要です。
- 控除率:0.7%
- 控除期間:13年間(新築住宅)
- 借入限度額:一般新築4,500万円・省エネ住宅5,000万円(子育て・若者夫婦世帯)
- 所得要件:合計所得2,000万円以下(2026年より引き下げ)
- 適用期限:2030年12月31日入居まで延長済み
控除額は「年末のローン残高 × 0.7%」で計算します。残高は毎年減っていくため、控除額も年々小さくなります。
4,500万円を借りた場合のイメージはこちらです。
- 1年目(残高約4,392万円):約30.8万円
- 5年目(残高約3,951万円):約27.7万円
- 10年目(残高約3,371万円):約23.6万円
- 13年目(残高約3,009万円):約21.1万円
- 13年間の合計:約336万円
「4,500万円 × 0.7% × 13年=409万円」は残高が減らない前提のため誤りです。実際には約336万円が正しい目安です。
4,500万円の家を買うなら?FP主婦の計算
月々の返済シミュレーション(4,500万円借入・金利1%・35年固定)
4,500万円を借りる場合の試算です。
- 月々の返済額:約127,028円
- 総返済額:約5,335万円
- 総利息:約835万円
賃貸(家賃8万円)の場合はいくら払う?
参考として、家賃8万円で35年間賃貸に住み続けた場合の総支払いを計算してみます。
国家公務員の場合、家賃8万円では住宅手当が月28,000円(上限)支給されます。
- 自己負担:80,000円 – 28,000円 = 52,000円/月
| 期間 | 総家賃 | 住宅手当(累計) | 実質負担 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 960万円 | 336万円 | 624万円 |
| 20年 | 1,920万円 | 672万円 | 1,248万円 |
| 35年 | 3,360万円 | 1,176万円 | 2,184万円 |
対して、4,500万円の持ち家を35年ローンで返済した場合の実質負担は次のとおりです。
- 総返済額:約5,335万円
- 住宅ローン控除(13年間):約▲336万円
- 購入諸費用:約270〜405万円
- 修繕・固定資産税など:生涯で数百万円規模
- 実質総負担:約5,500〜6,000万円規模
数字だけで見ると、35年間で賃貸の方が3,000万円以上安い計算になります。
ただし、賃貸は35年後に資産が残りません。持ち家は地方では資産価値が下がりやすいものの、都市部の物件であれば売却・賃貸収入が期待できます。コストだけでなく、「35年後に何が手元に残るか」も含めて判断することが大切です。
変動金利には注意が必要
「変動金利は低い」という理由で選ぶ人も多いですが、リスクがあります。
海外では変動金利型住宅ローンはほとんど使われていません。金利が上がると返済額が増えるリスクがあるからです。日本でも2024年以降、日銀の利上げで変動金利は上昇傾向にあります。長期で借りるなら固定金利の方が計画を立てやすいです。
今、4,500万円の家は買えるの?
2026年現在の住宅価格の目安です。
- 首都圏新築一戸建ての平均:約4,844万円
- 首都圏新築マンションの中央値:約6,898万円
- 全国の注文住宅(土地込み)平均:約6,777万円
地方であれば4,500万円台での購入も現実的ですが、都市部では厳しい状況が続いています。だからこそ、まず資産形成を進めながら頭金を積み上げ、無理のない範囲で検討することが大切です。
公務員家庭の賃貸vs持ち家、わたしの結論
賃貸がおすすめな人
- 転勤の可能性が高い
- 住宅手当を満額もらえる家賃帯に住んでいる
- まだ資産形成(NISA・iDeCoなど)を始めていない
持ち家を検討してもよい人
- 転勤リスクが低い・定住が決まっている
- NISAなど資産形成がある程度できている
- 頭金・諸費用を含めた資金計画が立てられている
- 都市部で資産価値の高い物件が手に入る場合(売却・賃貸に出せる物件は「買うこと自体が資産形成」になる)
ただし、地方の持ち家は資産価値が下がりやすいという点も忘れてはいけません。地方では購入した瞬間から価値が下がり始め、売却しても大きな損失になるケースがあります。一方、都市部で資産価値のある物件であれば、売却・賃貸収入が見込めるため、持ち家そのものが投資になり得ます。
「資産形成が先、持ち家は後でも遅くない」というのがわたしの考えです。人生100年時代、焦って買う必要はありません。
さらに言えば、退職後に資産形成が成功してから、好きな場所に小さな持ち家を建てるという選択肢もあります。現役時代は賃貸で住宅手当をもらいながら資産を増やし、老後に現金で小ぢんまりとした家を建てる。ローンを組まずに済むため利息もゼロ、場所も自分で自由に選べます。「家は若いうちに買うもの」という常識にとらわれなくていい時代です。
差額を年利7%で運用したら?資産シミュレーション
ここまで「35年間で賃貸の方が3,000万円以上安い」という数字をお伝えしてきました。
では、この差額を毎月インデックス投資に回し続けたら、いったいいくらになるのでしょう?計算してみたら、夢のある数字が出てきました。
シミュレーションの前提
- 賃貸と持ち家の月々の費用差額:約85,000円
- 運用利率:年利7%(複利)※インデックス投資の長期平均を参考
- 運用期間:35年間(住宅ローンと同じ期間)
35年後のシミュレーション結果
| 金額 | |
|---|---|
| 毎月の積立額 | 85,000円 |
| 35年間の積立元本合計 | 約3,570万円 |
| 運用益 | 約1億1,000万円 |
| 35年後の資産総額 | 約1億4,570万円 |
元本は約3,570万円なのに、35年後には約1億4,500万円超に膨らむ計算です。これが複利の力です。持ち家を買わずに差額を投資に回すだけで、老後に1億円超の資産が形成できる可能性があります。
※上記はあくまで試算です。投資にはリスクがあり、元本が保証されるものではありません。年利7%の運用が保証されるわけではなく、実際の運用結果は異なる場合があります。
夢がありますよね。
ただし、これは「夢の試算」
- 年利7%が35年間続く保証はない(暴落・停滞もある)
- 差額をすべて投資に回せる家庭は多くない(生活費・教育費・突発的な出費)
- 賃貸は老後も家賃がかかり続ける(持ち家はローン完済後は住居費がほぼゼロ)
- インフレで家賃が上がるリスクもある
それでも、「持ち家を買わなかったコストを投資に回す」という選択肢の力強さを、数字で実感できます。賃貸+投資という生き方は、思っている以上に資産形成に向いているかもしれません。
公務員は賃貸と持ち家どっち?のまとめ
- 国家公務員の住宅手当は賃貸のみ・最大月28,000円(持ち家は2009年廃止)
- 4,500万円の物件の生涯コストは購入諸費用・税・修繕を含めると6,000〜7,000万円超
- 住宅ローン控除2026年は0.7%×13年・4,500万借入の場合は約336万円の控除
- 変動金利は金利上昇リスクがあるため、長期固定の方が計画しやすい
- 2026年の住宅価格は高水準。首都圏新築一戸建ての平均は約4,844万円
- 資産形成を先に進めることで、持ち家の選択肢が広がる
持ち家か賃貸かは「正解がない問題」です。数字を知った上で選ぶことが大切です。まずは家計の見直しとNISAでの資産形成から始めてみてください。
※この記事は2026年4月時点の情報です。税制・制度は毎年見直される可能性があるため、実際の判断前には最新情報を必ずご確認ください。


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